約10年前。

就職したての私は、初めて手にしたボーナスで、念願の高性能電子手帳を購入しました。
カシオの自信作、CASSIOPEIA A-51でした。
マイクロソフトが組み込み用OSとして開発したWindowsCE1.01日本語版を搭載した、最初の日本のマシンです。
当時画期的だったのは、電子手帳としては考えられないマルチタスク可能なモダンOSを搭載したことでした。
電子手帳と言えばPI-3000などに代表されるシャープのザウルスなどを筆頭に、様々な独自アーキテクチャの電子手帳が各社から発売されていました。
NECのET1なんてのもありましたね。その後、NECMS-DOSベースのモバイルギアを試験提供し、好評を博し始めていた頃です。
そう、電子手帳など、手に持って歩けるコンピュータのOSは、汎用OSとしてもせいぜいMS-DOSであり、シングルタスクのものでした。
そんな中発表されたWindowsCEは、プリエンプティブ・マルチタスク可能なモダンOSであり、これを搭載したCASSIOPEIAが約8万円で発売されたとき、これはすごい時代がやってきたと興奮し、パソコンをかわずにCASSIOPEIAを買ったのです。
(当時まだパソコンはかなり高かったしね)
当時の一日。

・起床
・CASSIOPEIAでダイアルアップ
QMAIL起動
・メールをダウンロード
ダイアルアップ切断
・通勤路上でメールマガジンの頃のMobile Daily Newsを読みふける
・仕事
・帰りの途上で残りのメールを読みふける
・帰宅
QMAIL起動
・メールをダウンロード
ダイアルアップ切断
・メールを読んだり、返信したり

帰りの途上、暗がりでCASSIOPEIAのグリーンバックライトを点けてメールを読む姿は、一見サイバーで、かなりやばい人間に見えたことでしょう。
とにかく、組み込みOSにマルチタスク・WindowsAPIサブセットの思想を持ち込んだWindowsCEはすごいと思いましたが、WindowsCE1.01の出来は今一つであり、何とか使えるようになるまでには、WindowsCE2.0の登場を待つ必要がありました。