Windows10環境下でリナックスザウルスとPCを連携させる

ネットワークに関するアイデアかんどころ

Windows10環境下ではザウルスとPCをUSB連携させるドライバの導入が困難です。
いったんここであきらめるという過程を経るわけですが、
ウェブを徘徊してみると、次のことが分かります。

  • ザウルスとPCとの連携は基本的にLAN環境下で行われている
  • ザウルス側のIPアドレスは決め打ちで、192.168.129.201
  • PC側のIPアドレスもどうやら決め打ちで、192.168.129.1

じゃぁ、家庭内ネットワークをこれに合わせてやればいいのではないか、というアイデアがわいてきたのであります。
ただし、無線LANはいけません。
ほとんどのザウルス対応CF型無線LANアダプタはWEP接続しかできません。
そこで、CF型「有線」LANアダプタを利用します。

Outlook同期に関するアイデアかんどころ

  • Outlook同期のためには、Outlook2007が必要であるらしい。

ということもわかってきました。
Zaurus Support Station
Outlook2007と今使っているOutlook2019はたぶん共存できるので、
同じ.pstファイルを参照するようにすればいけるのではないかと(おいおい)。

準備するもの

ザウルスとPC以外で必要なものは次の通り。

  • Outlook2007
  • CF型有線LANアダプタ
  • 家庭内ネットワークアドレスを変えるちょっとした勇気

ネットワーク環境など設定手順

  • ザウルスのPC側ソフトをインストールする(Intellisync、ザウルスショット、ザウルスドライブ)。このときの接続形態は「シリアル接続」ではなく「ネットワーク接続」を選ぶ。
  • ザウルスとPCをUSB接続する必要はない。USB接続してドライバをインストールする必要もないし、たぶんできない。
  • Outlook2007をインストールする。
  • Outlook2007と現在利用しているOutlook(たとえばOutlook2019)の.pstファイルを同じものにする。セキュリティの都合上、Outlook2007は使用しない。インストールして.pstファイルを設定するだけ。
  • ホームネットワークのルータ・DHCPサーバのアドレス割り当てのルールを 192.168.129.0/24 にしてしまう。ルータのアドレスはたとえば192.168.129.254とする。デフォルトGW、DNSもおのずと192.168.129.254となるはず。
  • ただし、192.168.129.1と192.168.129.201はDHCPで割り当てられないようにしておく。実質的には192.168.129.1が割り振られないようにしてやれば問題ないはず。
  • PCとザウルス以外のDHCP接続しているネットワーク機器について、ひとつずつ再度ネットワークIPアドレスを取得させておく。全部192.168.129.*となるはず。これやらないとネットワークつながらない機器が出てくる。
  • PCのネットワーク設定は固定とし、IPアドレスを192.168.129.1、サブネットマスクを255.255.255.0、デフォルトGWを192.168.129.254、DNSを192.168.129.254とする。
  • ザウルスにCF型有線LANアダプタを接続する。ネットワークケーブルも接続。
  • ザウルスのネットワーク設定は固定とし、IPアドレスを192.168.129.201、サブネットマスクを255.255.255.0、デフォルトGWを192.168.129.254、DNSを192.168.129.254にする。
  • ザウルスのホーム画面、「設定」タブの「PCリンク」で、「通信方式」は「USB接続(ネットワーク)」に変える。接続方式も「PC連携方式」にする。
  • これでおぜん立てのほとんどは終わり。

Intellisync

  • 母艦側でIntellisyncの設定をする。私の環境下では「カレンダー」と「アドレス帳」だけ同期するようにした。メールの同期はなぜか失敗する。→追記:メールの同期もできるようになりました。
  • 母艦側でIntellisyncを立ち上げる。うまくいけばザウルスでも自動で同期画面に代わる。
  • 終了まで根気強く待つ。(私はカレンダーの同期に1時間くらいかかりました)

ザウルスショット

  • タスクバー上にあるザウルスショットアイコンを利用する。
  • お好みで日付指定するようにしてあげればいいかも。
  • ザウルスのカレンダーに反映されることを確認する。

ザウルスドライブ

  • ザウルス上でsmbサーバを立ち上げる必要がある。
  • タイミング的にどこかで自動的に立ち上がるようにしてやればいいはずだが、とりあえず私は手動で立ち上げている
  • ザウルス上 /home/root/usr/lib/samba/smb.conf で
interfaces = usbd0

interfaces = usbd0 eth0

に書き換える。

  • ザウルス上でsmbサーバを立ち上げる。suして立ち上げる必要あり。面倒なので、次の通りのシェルスクリプトsmb.shを作り chmod +x smb.shしておいた。
#!/bin/sh
/etc/rc.d/init.d/samba stop
sleep 1
/etc/rc.d/init.d/samba start

stopしたりsleepしたりするのはまぁおまじない。
このシェルスクリプトを実行する。

  • 自動的にsmbサーバを立ち上げるように設定する。/home/etc/pcmcia/network.opts の
qpelan0,*,*,*)
:
:
    start_fn () { return; }
:
:
    stop_fn () { return; }

というところを次のように書き換える。

qpelan0,*,*,*)
:
:
    start_fn () { /etc/rc.d/init.d/samba start; return; }
:
:
    stop_fn () { /etc/rc.d/init.d/samba stop; return; }
  • これでPCのザウルスドライブからザウルスの中身を見ることができるようになる。

以上

手間ではありますが、Outlookとの同期、ザウルスショットでの画面キャプチャ、ザウルスドライブでのファイルのやり取りができるようになりました。
いろいろ試しましたが、うちの環境ではPC側セキュリティ対策ソフトでファイアウォールを一時的に無効にするなどの措置は不要のようです。